Letter from CAIRC
1999.4 Vol.3 No.1

人と動物のよりよい共生に向けて
ペット対応マンション次々に誕生!

テキストブック『集合住宅で犬や猫と暮らす
〜コンパニオンアニマルとともに〜』増改訂版が完成!
4月下旬より無料配布、再スタート

ご好評いただいているテキストブック『集合住宅で犬や猫と暮らす〜コンパニオンアニマルとともに〜』の増改訂版1万部ができあがりました。4月下旬から無料で配布いたします。集合住宅にお住まいでペット飼育にご興味のある方、講習会のテキストや飼育規約作りの参考にしたいという方々は『コンパニオンアニマル リサーチ』までお申し込みください。増改訂版は新しい情報も盛り込み、これまで以上に読みやすい内容となっております。

昨年2月、人間とペットのよりよい暮らしをつくるための活動の一環として発行したテキストブック1万部は昨年いっぱいで在庫少数となり、今年、お申し込みいただいた方々には大変ご不便をおかけいたしました。その大きな反響に私共『コンパニオンアニマル リサーチ』は人間と動物の共生のあり方に高い関心が集まっていることを、改めて認識させていただきました。

テキストブックは、この1年間に数多くの犬や猫の飼い主の方、企業、団体などに配布し、しつけ教室や講習会などで活用されました。配布先の内訳は、一般申し込み805件、マンション管理会社541件、建設・不動産会社398件、動物関連組織308件、行政215件、マンション管理組合145件、獣医師関係46件、その他240件となっています。配布後、行政や管理会社、飼い主の会など多くの方々から感謝のお手紙が寄せられ、その内容にも高い評価をいただいています。人間と動物のよりよい共生を目指す私共『コンパニオンアニマル リサーチ』は、多くの方々が大きな興味をもって、テキストブックを活用してくださることに、深く感謝いたしております。

また、昨年1年間、集合住宅でペットを飼うことについて数多くの不動産関係者の方から連絡をいただきました。不動産会社の77%がペット可マンションに対して何かしらのプランがあるという、リクルート社週刊住宅情報のアンケート結果も昨年5月、当ニュースレターVol2.No.3でお知らせしました。そこで今回は、実際にペット対応マンションを手がける不動産関係各社の担当者にお話をうかがってみました。

三菱地所初のペット対応型分譲マンション発売!

この春、数多くの不動産会社がペット対応型マンションの販売や入居者募集を行おうとしています。5月、三菱地所が発売するのは東京郊外の清瀬市に建つペット可分譲マンション清瀬パークハウス。8階建て、総戸数114戸、平均住戸面積80m2台の家族向けマンションで、ペット飼育のためハード面の対応として、エントランス外部にペットの足洗い場や汚物流しを設けたり、傷つきにくいクロスをオプションで用意したり、と細かな配慮が施されています。企画を担当する三菱地所第二住宅事業部岩本佳子さんはこう語ります。

「三菱地所が、本格的にペット対応型マンションを企画したのは今回が初めて。それだけに難しいことも多かったんですが、マンションでペットを飼いたいというニーズについて、きちんと対応したいと思いました。今回の清瀬パークハウスは、周辺に住んでいらっしゃる方にアンケートをお願いして、600人あまりの方から回答をいただき、それを参考に企画したんです。各戸1台分の駐車場があると嬉しい、とか、建築資材にできるだけ自然素材を使ってあるといい、といった意見もあれば、ペットが飼えるといいね、という意見もありました。周辺は自然環境がよく、地の利より、健康的に暮らすことを重視する人々が多い土地柄。そんな立地条件を生かしたライフスタイルを提案する、その一つとしてペットも飼えるマンションを作ったわけです。それに、ペット対応型マンションと言っても、ペット専門マンションではありません。ハード面での設備は多いわけではないと思います。ペットを特別な存在として扱うのではなく、生活の中での自然な存在であってほしいというのが今回のテーマでもあるので、設備よりもソフト面の充実を図ろうと考えました。

たとえば、マンションの共用部分は犬を抱いて移動するというのが集合住宅でペットを飼うマナーとしてありますよね。ですから、2階以上にある住まいで飼える犬のサイズは小型犬までとし、1階では中型犬を飼うことができるように専用庭から居住者専用の通路を通り、直接出入りできるタイプも用意しました。また、一定のルールを設けたり、犬種・頭数を制限したり、といったことも考えています。そんな取り組みで、必要不可欠な設備だけを備えた、ペットを飼っていない人にも配慮したマンション、つまり、ペットを飼う人も飼わない人も共生できるマンションを作りたいと思います」

三菱地所の多くの物件は三菱グループのマンション管理会社(株)ダイヤコミュニティーが管理しています。清瀬パークハウスも来年3月の竣工以降、同社が管理を行います。管理組合やペットクラブの立ち上げをサポートするのも管理会社の役割です。同社営業企画部市塚勝久課長代理もこの取り組みに意欲的です。

「今回は管理組合立ち上げと同時にペットオーナーズクラブの立ち上げもフォローしていきます。もちろん、居住者が中心となって作って行くわけですが、上手に立ち上げれば、後の対応がスムーズですから、そんなに大変ではありません。組織を2つ作るから2倍の手間がかかるということはないと思います」


ペット対応型マンションを成功させるカギは
居住者の交流を不動産・管理会社がサポートすること

清瀬パークハウスは来年に竣工するわけですから、現在はまだそのシステム作りの最中です。しかし、4月1日から入居が始まっているペット専用賃貸マンションは状況が大きく違います。それが、多摩地区で都民住宅など数多くの物件を手がける(株)すまいるコーポレーションがつくったペット専用賃貸マンションマルシュ小金井公園です。この物件は、総戸数8戸、2LDK、子どものいない夫婦をターゲットとして考えられました。すでに4月1日から入居がスタートし、11日には入居者とそのペットたちの顔合わせを兼ねたガイダンスが行われる予定です。周辺は都立小金井公園、玉川上水など緑があふれ、ペットを飼うには適した環境。設備として、犬の糞を持ち帰ったときに捨てることができる水洗トイレ、足洗い場、係留フックを備えたコミュニケーションスペースもあります。また、居住部分にも、床面に段差のないバリアフリーやペットの足腰を痛めないようクッションフロアを採用するなどペットへの対応がいたるところに施されています。企画からこのマンションに携わる同社賃貸営業部ペットライフマンション担当の内田光さんにお話を伺いました。

「ペット専用マンションを作るうえで、最も大きな課題は居住者の意識とコミュニケーションだと思います。ですから、僕は、マンションを管理する一方、居住者の方をつなぐご用聞きのお兄ちゃんになりたいんです(笑)。この近くにある動物病院や公園などについての地図をお渡ししたり、11日の顔合わせを開催したり、1軒1軒ていねいに対応しています。こうやって、管理側と居住者の信頼関係を築くことで、入居者同士の交流もフォローすることが可能になります。隣人について何も知らないから、何かあったときに問題になる、そうではなくて、きちんとした信頼関係を作ることができれば、ペットについての苦情はほとんどなくなると思います」

前述の清瀬パ−クハウスは分譲マンション、このマルシュ小金井は賃貸マンション、また、総戸数の違いもあり、対応はそれぞれ違います。しかし、それだけに両社の取り組みに注目が集まっているとも言えそうです。前出の市塚課長代理は言います。

「80年代、集合住宅のほとんどは管理規約でペットの飼育禁止が定められていました。でも、実際には隠れてペットを飼う人も多く、そのために問題が生じることも少なくなかったんです。どれだけ他の人の迷惑にならないような飼い方をしていても規則で禁止となっている以上、それはいけないこと。でも、規則は他の人に迷惑をかけないという目的のために作られたものですよね。これでは本末転倒になってしまう。ところが、最近では居住者それぞれのライフスタイルを受け入れるという方向に進んでいます。総戸数100戸あまりのマンションでどの家もペットを飼っていないとすれば、それも不自然ですから。不動産会社も管理会社もかなり変わってきてると思いますよ」

今、個人のライフスタイルを重視したマンションが次々に生まれています。ペット対応型マンションの建設もその一環に他なりません。もちろん、この動きは始まったばかり。多くの企業が手探りの状態と言ってもいいでしょう。しかし、いずれ到来するはずの、人間と動物が共生する社会に向けた第一歩であることは明らかです。
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