Letter from CAIRC
2000.3 Vol.4 No.1

人と動物のよりよい共生に向け
不動産各社の取り組み、いよいよ本格化

テキストブック『集合住宅で犬や猫と暮らす』第3版が完成
無料配布続行!


ご好評いただいているテキストブック『集合住宅で犬や猫と暮らす〜コンパニオンアニマルとともに〜』第3版2万部ができあがりました。今後も無料で配布いたしますので、集合住宅にお住まいでペット飼育にご興味のある方、講習会のテキストや飼育規約作りの参考にしたいという方は『コンパニオンアニマル リサーチ』(略称:CAIRC)までお申し込みください。

このテキストブックは、98年2月、人間とペットのよりよい暮らしをつくるための活動の一環として発行したもので、昨年4月には増改訂版を発行し、これまでに約2万部を配布させていただきました。この2年間、集合住宅でペットを飼うことに取り組む方々から数多くのお申し込みがあり、昨年発行した増改訂版も在庫少数となったため、今回は2万部ご用意いたしました。

また、私どもCAIRCは昨秋、不動産関係者向けシンポジウム『集合住宅におけるペットとの暮らし』を主催いたしました。このシンポジウムは300名以上の参加者を集めた大規模な会合になりました。テキストブックへの大きな反響も、シンポジウムにご参加いただいた不動産関係の方々の強い関心も、人とペットとの共生という課題に多くの方々が取り組んでいらっしゃるという現実に他なりません。私どもCAIRCもペット対応集合住宅に取り組む不動産関係各社のみなさまをできる限り応援していく所存です。

今回のニュースレターでは、シンポジウムにご参加いただきました不動産関係者の方々からのアンケートとすでにペット対応集合住宅を建設されているデベロッパーの方々のお話を伺い、ペット対応集合住宅の未来を探ってみました。


CAIRC主催シンポジウムでアンケート実施
55%の企業がペット対応集合住宅を建築・企画中


シンポジウムを開催したのは昨年10月18日。3人の専門家による講演とビデオ上映で集合住宅における人とペットの共生を考える集いとなり、不動産・マスコミ・動物関係者など約320名が参加されました。アンケートはこの会場で不動産関係者にお配りしたもので、回収した141枚のなかから興味深い内容を拾ってみました。

まず、デベロッパーのみなさんに向けた質問で「ペットが暮らせる集合住宅について」これまでに販売済みで今後も予定あり、と答えた方は16%、販売済みで今後は予定なしと答えた方は1%、現在企画中、もしくは企画予定と答えた方は39%。未定と答えた方は18%、回答なしが26%。つまり、全体の55%の方々から現在企画中、または企画予定であるという回答をいただいています。参加した感想は前号でも掲載いたしましたが、現状がよく理解できたと答えた方が65%以上に上りました。そのなかから、特徴的な意見をいくつかご紹介いたします。「VTRによる紹介がとても良かった。できればより多くの人にみてもらいたい」(管理業・女性)、「これまでペット飼育はあまり認められていなかったが、VTRで取り上げられた神戸市のような取り組みが出ていることがわかって、興味深かった」(建設業・男性)、「講演を通して、人とペットの共生の意義が分かった」(不動産業・男性)「行政でペット対応共同住宅を建設したと言うことは、今後のマンション建設で家主さんの考え方を変えるほどの影響を持っていると思う」(不動産業・女性)と、VTR上映の内容を支持する意見が多く見られました。集合住宅でのペット飼育についてまだコンセンサスがとれているとは言えない状態ですが、行政がペット飼育のメリットを認め、その建設に乗り出したと言うことは社会そのものも動き始めている証拠だと言えるでしょう。また、「質疑応答の時間が短かったのが残念…」(不動産業・男性)という意見もありました。参加者のみなさんからは設備面の対応、ペット飼育細則などについて数多くの質問をいただきましたが、限られた時間の中でそのすべてにお返事できませんでした。ただ、質問はすべて専門家の先生にアドバイスや回答をお願いし、お返事をいただきましたものについては、質問者の方にご連絡差しあげております。


平成8年以降に建てたマンションは
ペット飼育可能 −東京建物(株)−


シンポジウムでのアンケート結果にも表れているように、今、ペット可マンションを建設中・企画中の企業は少なくありません。しかし、ペット可マンション作りの基盤は、まだ未完成。それぞれの企業がそれぞれにマーケティングを行い、その企業独自の基盤をつくっている段階です。とはいえ、それらの企業が綿密な調査とユーザーニーズを踏まえてマンションを造っているのも事実。今回は、2つのデベロッパーの担当者にお話を伺いました。

「平成8年に建設した『プランヴェール入間武蔵野』(RC8階建て・総戸数176戸)以降、当社の商品は、他社との共同でつくったものを除いて、原則ペット飼育可能になっています。都心部のマンションでは設備面での対応は行わず、そのぶん、細部にわたり配慮されたペット飼育細則を用意し、管理組合設立と同時に飼い主の会を立ち上げる、といったソフト面の対応を充実させています。郊外型のマンションでは、ペットがつける汚れや傷に対応できるクロスやカーペットをオプションで用意したり、と内装面での対応も行っていますが、ペットを飼う人も飼わない人もともに気持ちよく暮らせるマンション作りには、仕様もさることながらきめ細かなルールづくりがポイントだと思います」

というのは、東京建物(株)開発企画部課長代理浅沼正樹さん。既購入者や購入検討者に配布する季刊情報誌『素敵な住まい』ではペットに関する企画を組むこともあります。今年3月発行のNo.37ではハウジングサークル会員への『住まいとペット』に関するアンケートをもとに記事がつくられています。このなかに、自宅でペットを飼っている家は4軒に1軒というアンケート結果が紹介されていますが、これらがユーザーニーズとして汲み上げられていくわけです。また、同じ号にペットをテーマにしたグッドアイデア賞の結果も掲載されていました。

「当初はあまりペット飼育可能であることをアピールしていなかったんですが、郊外型マンションを造ったときにペットが飼えることをアピールしたら、それに興味を持っていらっしゃった方が多かったんです」(浅沼さん)

と、ペット飼育可能であることは非常に強いニーズがあることを実感されたといいます。

また、大分県の(株)三和恒産もペット対応マンション作りに熱心な取り組みを行っています。今年9月に発売し、平成13年10月に引き渡しを行う『エスパル中春日』(RC11階建て・総戸数21戸)は高崎俊一社長が自ら情報収集を行い、集合住宅でのペット問題を徹底的に考えた分譲マンション。販売後も管理を行うので、この4月から社員の方と高崎社長が愛玩動物飼養管理士資格を勉強する予定です。

「私は当社の分譲したマンションに住み、ペットを飼っていました。ペット問題には自分自身が直面しました。しかし、子どもの心の育成にはペットがいると力強いということを経験から知っています。また、近所にお年寄りのご夫婦がいらっしゃって、ペットは彼らの心の支えになっていました。地方都市といっても都市化が進んだ現在、ペットは人の心を癒やし、人と人をつなぐ存在として大切だと思っています。それがこのマンションを造る大きな理由になりました」

『エスパル中春日』は共有部分1階に足洗い場、汚物流し、各フロアのバルコニーにはシンクを設置し、専用部分では猫の行動に対応してコンセントの位置を高めに、クロスは腰の高さで貼り分け、室内には空気清浄機、玄関脇にはリードフックを設置し、床は硬質コルクを使用しています。ソフト面でもペット飼育規定はもとより、動物病院と提携し、年1回の健康チェック、ペットを飼わない人への『ペット飼育同意書』などさまざまな対応を行う予定です。


それぞれの企業とペット飼育者の協力で
ペット対応マンションの可能性は広がる

前述の東京建物のペット対応マンション建設はすでに4年の実績を持ちます。この間には当初、予期しなかった問題が起きたこともあります。

「購入者で盲導犬を飼っている方がいらっしゃったんです。でも、ペット飼育細則で照らし合わせるとサイズオーバーなどさまざまな問題がありました。それで飼育細則に『目の見えない若しくはそれに準ずる居住者が必要とする場合の道路交通法施行令第8条第2項で規定する盲導犬は除く』という一文を加えました。その方にとって目の役割を果たす盲導犬はペットという概念からはずしました」(浅沼さん)

今後、ペット対応マンションがいっそう増加することは間違いありません。ある程度の共通認識も育つはずですし、その企業独自の展開も考えられます。たとえば、東京建物では、フリープランシステムを採用したプロジェクトが動いています。

「土地を当社が用意し、お客様といっしょにマンションを造っていくシステムなので、お客様それぞれのニーズに対応することができます。もちろん、周辺の居住者の方とのコンセンサスをとったうえで行う必要がありますが、ペットを飼いたいというお客様が中心になって、ペット対応マンションを造るというプランも可能性の一つとして考えられると思います」(浅沼さん)

多様化するニーズを汲み上げるといってもペットは生き物であるだけにさまざまな課題を抱えています。しかし、私どもCAIRCはペット=コンパニオンアニマルが果たす大きな役割を知っています。そして、人間と動物の共生が私たちの暮らしをよりよく変えてくれるものと信じています。不動産関係各社はいよいよ本格的な取り組みを始めました。今後もCAIRCは人間と動物の共生に向けて、さまざまな角度から対応し、みなさまの取り組みをサポートしていきたいと存じます。

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