Letter from CAIRC
2005.5 Vol.9 No.1

“ペットの癒し効果”を科学する
ペット飼育は“高齢者の予防医学上”効果的!


人間とコンパニオンアニマルとの共生をテーマに数々の啓発活動を行う非営利団体コンパニオンアニマル リサーチ〔会長:正田陽一 東京大学名誉教授、住所:東京都渋谷区、略称:CAIRC〕では、「人間とコンパニオンアニマルとの関係学」の発展やコンパニオンアニマルへの理解が深まることを願い、優れた研究に対して研究助成を行っております。この度、酪農学園大学獣医学部 本岡正彦さん(第3回CAIRC奨学金給付者)らによる、ペット飼育が高齢者の健康に寄与するメカニズムを検討する研究「ペットが高齢者の健康に及ぼす効果〜臨床生理学的アプローチを中心に〜」を新たに助成し、その研究結果がまとまりました。


“ペットの癒し効果”のメカニズムを検証

本岡正彦さんらが行った研究は、近年高齢者の健康維持や予防医学の観点から注目されている“ペットの癒し効果”を臨床生理学的なアプローチを用い、医学部および獣医学部で共同研究したものです。この研究グループはこれまでに、犬との散歩が副交感神経系の活性化を促すという研究結果を発表しています(第3回CAIRC奨学金給付研究)。この結果から、本岡さんのグループはペットの持つ癒しの効果とは、具体的に副交感神経系の活性化ではないかとの仮説を立てました(副交感神経は自律神経のひとつで、副交感神経が働くと心拍数が低下し、いわゆるリラックスした状態となります)。今回高齢者数名を対象に犬との散歩時、また犬の訪問時に自律神経変動解析装置を用い、自律神経の変化を解析する研究を行いました。その結果、犬との散歩時、または犬の訪問時は、犬の不在時にくらべて副交感神経活性値が高まるという結果が得られました。また、犬の散歩は3日間連続で行われましたが、日を追うごとに副交感神経の働きが増していることも分かりました。

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本岡さんは今回の研究について「我が国の保健医療の大きな課題の一つに少子高齢社会の進行に伴う高齢者の健康問題があります。高齢者が健康に生活を営むための社会的サポートとしてペット飼育から受ける健康面での恩恵は注目されつつあります。この研究の目的はペットがもたらす効果を医学・生理学的に定義し、我が国の抱える高齢者の福祉にペットが果たす役割を示すことにありました。今回の研究結果から、ペットと過ごすことで副交感神経が活性化されることが明らかになりました。副交感神経が活性されれば、ストレスが緩和され、様々な疾患を回避し、高齢者における予防医学的観点からも有用です」と結んでいます。

■本岡正彦(もとおか まさひこ)さんのプロフィール
筑波大学大学院(修士)医科学研究科終了。
群馬大学医学部保健学科助手を経て現在は酪農学園大学獣医学部獣医学科所属。
専門:心血管内分泌学、臨床生理学


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